神奈川県西部に自生するアジサイ

 神奈川県西部において野生のアジサイは海岸のガクアジサイと明るい林のヤマアジサイの2種がある。ガクアジサイは海岸の中でも岩場・傾斜地や林が有る場所なので限られた狭い範囲にのみ分布するが、ヤマアジサイは広い範囲に自生している。
 箱根町周辺ではヤマアジサイの中に変異のある2種類が知られ、それぞれホソバコガク・イワガクと呼ばれている。
また、神奈川県西部の狭い範囲で、ヤマアジサイに混ざり青色の花を持ち花と葉が大きいアジサイが見られた。ホソバコガクあるいはヤマアジサイと同じ場所で見られ、ガクアジサイ又は園芸種との交雑種と思われる。特に市街地に近い場所では装飾花が多い、又は花色が濃い個体が見られることで、園芸種の関わりが考えられる。

ヤマアジサイ

交雑種


はじめに
私は昨年まで伊豆半島における自然交雑種を調べてきた。その中で、以前よりネット上で神奈川県に交雑種らしい写真が見られたので、いつかは調査したいと考えていたのだ。昨年(2015年)に熱海市の調査に取りかかったこともあり、今年(2016年)から近くの神奈川県西部のヤマアジサイと交雑種も同時に進めることにした。最初に見た群落は集落から山へ数キロ入った道路沿いで、ホソバコガク数株と一株だけ装飾花が淡い青色、両性花が白色の交雑種が自生していた。少し進んだ場所に装飾花が白色、両性花が青色の株が見られた。頂上近くでは群落の中に数株の交雑種があるので、中腹より密度が濃いようだ。反対側でも同様であり、湖まで下るとヤマアジサイはたくさんあるが交雑種はごく稀にしか見られなかった。

分布と特徴
ガクアジサイは真鶴半島海岸沿いの道にある。小田原市にもあるそうだが確認していない。
ヤマアジサイは一部の地域(湯河原町・箱根町)の調査しかしておらず、今後は調査範囲を広げていくつもりだ。湯河原では集落より数キロ山に入った道路沿いでホソバコガクをみた。その先にも点々と続いて見られた。箱根町は広い範囲に分布し、湯河原の近くでホソバコガク、芦ノ湖周辺でヤマアジサイが見られた。来年はイワガクを見たいと考えている。
伊豆半島の交雑種(伊豆半島の交雑種を参照)は、熱海市から南伊豆町にかけて、ガクアジサイとアマギアマチャの自生地の中間地点にあたる川沿いや集落周辺・道路沿いに自生している。下田市南部から南伊豆町、熱海市の一部においては交雑種が海岸近くより見られるのだが。
一方神奈川県西部を見ると、交雑種は海側で集落より数q山側に入った場所、岸線より3k以上山側から交雑種が見られる。今まで見た全ての個体は道沿いに自生し、人家のそばでは見ていない。標高が高い場所に多いホソバコガクと同じ場所にあることがほとんどで、ヤマアジサイの自生地でそれを見ることは稀である。
調査の回数がまだ少ないので、これから新たな事実を書き加えていく予定。

ガクアジサイ:神奈川県のガクアジサイは伊豆半島東部より花色が薄く、千葉県や伊豆諸島より濃い。
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 |――交雑種
 |    ヤマアジサイ・ホソバコガクとガクアジサイ又は園芸種との自然交雑
 |    湯河原町・箱根町に自生。
 |    函南町でも見られるので、他地域に分布している可能性がある。
 |    淡青色の装飾花と青色の両性花、周辺のヤマアジサイより広く大きな葉を持つ株が一般的
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ヤマアジサイ:東日本型なので白花。神奈川県内に広く自生する一般的なアジサイ。
  |      ピンクが入る花も見られる。
  |      箱根町では広い範囲に分布する。
  |      花や葉の変異が大きく、ホソバコガク・イワガクとの区別が難しい個体も見られる。
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  |――ホソバコガク
  |    アマギアマチャ同様細葉系のヤマアジサイ。
  |    基本は白花だが、ピンクが入る花も見られる。
  |    私には伊豆半島に自生する甘くないアマギアマチャと同じか違うのかが判らない。
  |    湯河原町、箱根町の湯河原に近い地域で見た。
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  |――イワガク
       全体が少し小型、葉の両面に立毛がある。
       岩場や水分の多い場所に分布。

ホソバコガクとアマギアマチャの関係
伊豆半島のヤマアジサイはアマギアマチャと言われてきた。そして河津川を境にして西側に甘い株が多く、東側には甘い株はごく少ないと考えられてきた。当然のように、甘くなくてもアマギアマチャと考えてきたのだ。しかし、甘いアマギアマチャと甘くないアマギアマチャ、甘くないアマギアマチャと箱根の細葉系ヤマアジサイ・ホソバコガクの差が私にはわからない。違うとしても、分布の境はどこだろう。
DNA解析でこの問題を解決する人が現れることを望んでいる。
本ホームページはこの問題が解決されるまで、ホソバコガクの名称を使用する。

保護
これらのアジサイは道際に多く生育しているので、雑草のように粗末に扱われ草刈の時に一緒に刈られてしまうことがある。
特に交雑種は自生数が少なく、いつ消えてしまうのか心配だ。
地元で貴重な個体だけでも残す為に保護園の設置が求められている。

花の写真

ヤマアジサイ

ごく薄いピンクの装飾花

ヤマアジサイ

ナデシコ咲き

ヤマアジサイ

装飾花が多い(多花)

ヤマアジサイ

ナデシコ咲き、幅広弁

ヤマアジサイ

普通の花

ナガバコガク

多花

ナガバコガク

ナデシコ咲き

ナガバコガク

普通の花

交雑種

両性花青色

交雑種

白花ナデシコ咲き、ガク大きい

交雑種

小型の花

交雑種

両性花青、ガクごく薄い青

交雑種

ごく薄い青、ナデシコ咲き

交雑種

一般的な花色

交雑種

淡い青、両性花青

交雑種

ピンク、両性花濃い青紫

自生地の写真

ヤマアジサイ

ヤマアジサイ

ナガバコガク

ナガバコガク

ナガバコガク

ナガバと交雑種の群落

交雑種

交雑種

病気・ファイトプラズマに感染か?

 箱根町芦ノ湖において野生のヤマアジサイの中に一株ではあるが、ファイトプラズマに感染したと思われる個体を見つけた。この病気のアジサイは治ることがなく、また感染するので地域全体のアジサイが全滅するおそれもある。
 結果:アジサイの第一人者である日本アジサイ協会の杉本さんに問い合わせたところ、開花初期は緑色で開花が進むにつれ白花に変わるヤマアジサイだろうとのお話でした。

 この地ではアジサイが観光の目玉となっており、開花時期には大勢の人々が訪れている。線路沿いや某公園等でファイトプラズマが見つかっていると聞いたことがあるので、将来は野生のアジサイにまで感染する恐れも大きい。病気の株を全て抜き取らない限り、野生のアジサイへの影響は避けられないだろう。

咲き始めが緑色のヤマアジサイ



自生地の写真
伊豆半島のアジサイ
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